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2012年2月 7日 (火)

「ショート ショート」 11

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 「Yという女」 その 5


 エベレスト登頂50周年記念も行事は次々と進行してゆく。
昼食パーティもつつがなく終わり、いったんホテルへ帰り休憩。
そしていよいよ最後の、ビネンドラ・コンベンション・ホールでのサミッター表彰と、ガラ・ディナーを残すだけとなった。
出発はホテルからの専用車で会場入場は問題なし。
各国のサミッターが順番に紹介され、時の首相チャンド(現首相)からメダルが手渡された。
皮肉にもチャンド首相は、なんと翌日国王ギャネンドラに首相を罷免された。
アッパー・シェルパが、13回目の登頂成功の世界記録(現在自身の22回)を打ちたて会場へ姿を現し、満場の出席者から祝福される。

 いよいよガラ・ディナー。国王夫妻、皇太子が出席だけに今朝以上にセキュリティチェックが厳しい。
ところがまたもや「あら!忘れた」である。
これだけ続くと、ちっとや、そっとでは驚かないし腹も立たない。
次にはどう連れて入るかが問題だ。しかしなかなか策が浮かばない。

 そのうちに入場時間が迫りボツボツ入場を催促される。
そこで首から提げたIDカードを彼女に掛け、カードも渡しカメラバッグを持たせ、ビデオカメラを廻しながら入場風景を撮るようにして、一足先に体だけ入れて撮影を開始する。
係官に例によって「メロ、ブディ」とつげて強引に入ってしまう。
幸いNMA(ネパール山岳協会)のバッジをつけており、入ったところにメンバーがいて、ワザワザ大声で声をかけると、係官は何かいおうとしていたがすぐに次のチェックに追われ、ゼスチャーで行けとサインして関門をパスする。まったく冷汗ものだ。

 やがてすべての公式行事は終わり、音楽が始まって全員ダンスとなる。
ダンスとなれば目がない彼女は、外人グループやネパールグループに入り、年甲斐もなく、着物の裾の乱れもなんのその踊りまくっている。
バーバーは撮影に終われて、その上に放りっ放しのハンドバッグをかかえ、お守りと監視に暇がない。
一緒にいたモンゴルのゲストが、同情して苦笑していたほどであった。
近頃珍しい女性である。果たして本当に忘れたのであろうか?
  
  

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